マンハッタン花物語…BED OF ROSES
「マンハッタン花物語」
恋愛に臆病な女性と、彼女の前に現れた理想の男性の恋を、オーソドッスな語り口で
描いたロマンチックなラブ・ストーリー。監督・脚本は、本作がデビューとなる戯曲家の
マイケル・ゴールデンバーグ。製作は「恋愛の法則」のアラン・ミンデルとデニス・ショウの
コンビ。エグゼクティヴ・プロデューサーはジョゼフ・ハートウィックとリン・ハリス。
撮影は「ゴーストバスターズ」など数多くの作品に関わったアダム・キンメル、音楽は
「恋愛の法則」のマイケル・コンヴァーティノ、美術も同作のスティーヴン・マッケイブ、
編集はジェーン・カーソン、衣裳は「プリティ・リーグ」のシンシア・フリントが担当。
主演は「ブロークン・アロー」のクリスチャン・スレイターと「ヘブンズ・プリズナー」
のメアリー・スチュアート・マスターソン。
あらすじ
銀行の部長職に抜擢されたリサ・ウォーカー(メアリー・スチュアート・マスターソン)は将来を嘱望される、ワーカホリック気味のビジネス・ウーマン。ただ一人の身内であった養父の訃報が届いた人生最悪の日の朝、オフィスに突然、美しい花束が届く。リサはボーイフレンドのダニー(ジョシュ・ブローリン)や親友のキム(パメラ・セガール)に聞くが、贈り主は分からない。上司から強制的に休暇を命じられ、時間を持て余した彼女は、花束に付いていたカードを頼りに花屋に探りを入れた。リサは花を配達したルイス(クリスチャン・スレイター)に再会し、もう一度贈り主の事を問いただすが、彼は身元を明かすことはできないと言う。数日後の夜更け、幼い日の思い出の夢にうなされて起きたリサは、何気なく窓の外に目をやると、そこにはルイスの姿が。翌朝、リサは彼に会うと、ルイスは花を贈ったのは自分で、実はこの花屋のオーナーでもあると白状した。夜中に散歩している時、窓辺で泣いている彼女を見かけて気になっていたと言う。彼はリサを花束の配達に誘い、屋上で丹精込めて育てた花園を見せた。リサは突然現れた理想の男性に戸惑うが、そうしているうちにも1時間毎にバラの花束がルイスから届き、部屋は花でいっぱいに。彼は昔、仕事熱心なあまり妻と疎遠になり、妻を亡くした今は後悔していると話し、同じ過ちを繰り返したくないと言う。ルイスの言葉に心動かされた彼女は、彼と共に一夜を過ごす。やがて2人は恋に落ち、夢のように甘い時を過ごす。クリスマス、ルイスは実家で家族と共に過ごそうと彼女を誘い、リサに指輪を贈る。理想が現実になろうとした時、リサの心はそれを拒み、クリスの前から去った。クリスは彼女を追い求め、真摯な愛を告げた。2人はもう一度、初めからやり直そうと抱きしめ合った。
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- ¥3,400
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ニューヨークを舞台にした映画はたくさんあります。(市長が映画作りに協力的で撮影
コストが安い)。都会と自然がみごとに同居したニュヨークのロケーションを、この映画
「マンハッタン花物語」(原題は「BED OF ROSES」)もふんだんに使っています。
中身を一言で言えばシンデレラ・ストーリー? 仕事一筋のキャリア・ウーマンで、しか
も愛情運の薄い女性に、白馬に乗った王子様がやってくるという典型的なパターンです。
王子様は、クリスチャン・スレーターが演じるマンハッタンの花屋のオーナー。彼が夜の
街を散歩していたとき、窓辺で泣いている女性(メアリー・スチュアート・マスターソン
)を見かけて、なんとか元気づけたいと思ったんですね。そこであくる日彼女のあとをつ
けて、オフィスに匿名の花束を贈ることから恋が始まります。おまけに彼女がスターリン
グ・ローズというバラ(グレイがかったラベンダー色のバラ)が好きだと聞いてからは、
なんとニューヨーク中の花屋からそのバラを集めて、彼女の部屋に一時間おきに届けると
いうプレゼントまでしちゃうんです。
ちなみにこのスターリング・ローズなんですが、リチャード・バートンがエリザベス・テ
ーラーと結婚してたころ、彼女のラベンダー色の瞳に合わせて、10ダースものバラにダイ
ヤのブレスレットをあしらって贈ったというエピソードがあります。
花屋のオーナーとキャリア・ウーマンの恋はとんとん拍子に進行して、彼からのプロポー
ズ。ところが人を愛することに自信のない彼女は心の扉を閉じてしまい、さあ二人はどう
なるの?っていう話なんですが、「美女と野獣」とか「プリティ・ウーマン」なんかに比
べると、そんな深刻な悩みじゃないような気もしますけど・・ま、人それぞれですから。
この手の映画は、難しいことを考えずに、きれいな画面を楽しむのが正しいんでしょう。
それにしても羨ましいのが、花屋のオーナーが住んでるアパート。撮影にはマンハッタン
の5番街にあるクラシック・アーティストのスタジオを使ったそうで、光が空から降りそ
そぐ天窓があって、そこから屋上に出られるようになってるんです。屋上には野性の花が
いっぱい咲いている秘密の花園まであるんですね。そこからニューヨークの街を見下ろし
ながら、二人はファーストキスをかわす・・。先読みできるシナリオでしたが、やっかみ
半分・羨ましさ半分。幾つになっても王子様を待ちたい女心を、手のひらでコロコロされ
たい方には、おすすめの作品です。(96年7月日本公開)